会長挨拶
第22 回日本小児整形外科学会の開催にあたって
第22 回日本小児整形外科学会
会 長 日下部 虎 夫
(京都第二赤十字病院 副院長)
今回、第22回日本小児整形外科学会を主催させていただきますことを誠に光栄に存じております。私は本学会の前身であります西日本小児整形外科学会の設立当初より評議員として参画し、本学会への移行後も評議員や理事、また教育研修委員会委員や小生が提案し設立されたスポーツ委員会の委員長など本学会の運営に協力させていただきました。本学会の発展とともに、自分自身がその中で成長させていただいたことを心より感謝しています。
昨今の整形外科卒後教育の状況をみますと、従来特殊な領域として敬遠される傾向にあった小児整形外科ですが、その専門医をめざす若手整形外科医たちが小児病院や大学病院などでは結構増加しています。しかし一方で、一般病院に勤務する医師においては、その臨床の実践はもとより教育研修さえもおろそかにされる傾向にあるように思います。小児の骨折治療さえも敬遠されているとも聞きます。このような現況を鑑み、今回の学会は総合テーマを「小児整形外科、伝統の継承と新たなる展開」とし、従来からの小児整形外科特有の疾病に関する研究発表と討議に加えて、小児の脊椎、関節、腫瘍、外傷外科など整形外科の他の専門領域と連携して、幅広く小児整形外科の諸問題を討議する場として発展させ、若手整形外科医が興味をもち参加しやすい学会をイメージして企画いたしました。
シンポジウムとしては常に本学会のメインテーマであります先天股脱に関して「日本における先天股脱研究の歴史」として、関節造影や超音波などの検査・診断法、Rb 治療、OHT 法、観血的整復術、補正手術、検診などについて、それぞれに多くの業績をお持ちの先生方をシンポジストとしてお願いし、京大名誉教授 山室隆夫先生に先天股脱の成因に関する研究について諸外国の研究を含めての特別発言をお願いしました。
特別講演としましてはスイスからのAndré Kaelin 先生に「Diaphyseal Femoral Fractures in Children」を、韓国からのSung Taek Jung 先生に「Limb correction and lengthening in Children with bone Tumor」をお願いしております。
パネルディスカッションは1. ペルテス病の保存的治療、2. 成長期運動器検診の現状と課題、3. 小児整形外科領域におけるFAI、4. 小児大腿骨々幹部骨折の手術治療、5. 小児の腰痛、6 小児の膝痛とし、4 題のランチョンセミナーと1 題のイブニングセミナーを予定しております。イブニングセミナーは、埼玉医大名誉教授 東博彦先生に私が目標としてきました「子どもからおとなまでの股関節外科」に関してのご講演をお願いいたしました。自分自身が非常に楽しみにしております。他に主題、一般演題およびポスターセッションなどかなり欲張った企画となっております。座長の先生方どうぞよろしくお願いいたします。
その他、今回の新しい企画として若手整形外科医のために牛若丸セミナーとして小児整形外科教育研修のコースを設けました。8 題の典型的な小児整形外科疾患に関する研修講演をそれぞれの権威の先生方にお願いしております。必ずや有意義な研修ができることを信じております。
少し寒くなる季節の京都ですが、会期を木、金曜日としておりますので学会終了後の週末をお楽しみいただければ幸甚に存じます。